19歳、2006年、そしてそのうち来る、大学の二年目。何にしても、たくさんの節目があって、そのたびに反省したり振り返ったりして、次の目標を立てる。けど、果たされなかったりする。それなのに、どうしても何か目標を立てたくなる。きっと、守れないことを当然と思っているけど、そうやって願ったり祈ったりしたいのだ。それが楽しいのだろう。



今年の目標。

物事に対する反応速度を上げる。何にしても行動が遅いし、考える時間が長すぎる。その場で考えること。そして、実行すること。

きちんとアンテナを張り巡らす。結構狭い世界にいることが好きだから、色んなものに触れること。そして、きちんと色んなもの感じたり知ったりすること。

何にしても、学問。臨床心理士にちゃんとなりたいから、とりあえず専門課程と英語だけは、しっかり外さない。しっかり学ぶ。

朝に強い人間になる。朝、どうしても力が出ないのをやめる。眠るときは一杯眠っていいから、起きる時は起きる。

優しい人間になる。というか、優しさの本質を探る。とりあえず、なるべくイライラしない人間になろう。

言葉遣いをよくする。汚い言葉を使わない。言葉関連で、なるべくなら文字に縛られないようにする。

本を読む。途中で断念する本を作らない。三島由紀夫の描写に飽きないだけの忍耐力をつける。ムーミン読破、まず目標。

人の悪口を言わない。どうしようもない時、言わなきゃいけない時以外は、言わない。軽く貶す様な真似はしない。

謙虚さと自信のバランスを探る。多分、今年中にこれをつけろって言うのは無理だから、どんなものかを知っていく。謙虚さと自虐のバランスは、取る。

絶対、いい恋愛をする。今の状況が次の12月に持ち越すことだけはないようにする。

大原則。不幸に浸らない。



あげたら限がない。絶対に数年先の目標まであげきってしまう。今年中にしろっていうのは無理なものまで来るから、ここでやめるけど、どう考えてもこれだけの数をこなすのは無理。でも掲げておこう。それが楽しいから。ふと意識して、考えることができればいい。

街中で見かけるカップルを、時々喫茶店でコーヒー飲みながら見ている。二人で喋りながら、本当に楽しそうにしているカップルがいる。その時、女の子はびっくりするくらい可愛い。女の子は、見慣れている。どんな種類の女の子も、私は知っている。けれど、どんな女の子も私といるとき、そんな顔をしない。皆でいるとき、そんな顔をしない。
これが恋なんだなぁ、って思う。女の子は本当に、恋をしているとき可愛い顔をする。
大学の友達に、彼氏ができた。その、報告してくるときの、顔ったら、本当に可愛い。携帯を見つめながら、熱心にメールを打ったり、返ってくるのをまったりしている時、本当に、うっかり私がその子のことを愛しく思えてしまうくらい。可愛いっていう表現以外、思い浮かばない。



今日、久しぶりに沢山の写真のサイトを観た。時々、彼女のことを撮った写真がある。本当に、愛おしい風景なのだ。元の作りは可愛くはないのだけど、その人は、本当に愛すべき顔をしている。本当に可愛い顔をしている。
ずるいなって、思った。私もそんな風に見られたかったって、思った。今日、ぬいぐるみを抱きかかえながら、愛しいなって感じた。なぜだか分からないけど。あの人のこと抱きしめるときも、愛しいと思う。女の子とハグしても、それはとっても愛しい。
そんな風に、愛しく思われたかった。思ってくれていないだろう。きっと。そう感じると、本当に胸が痛む。私は体だけじゃなくて、心だって持ち合わせているのに。あの人は、どこまでそれに気づいているのだろう。



ワンダー・ランドは崩壊していく。

リンリンとランランを連れて、本当にお風呂に入ったのだけど、なんだか自分が自分じゃないみたいに、ぬいぐるみに向かって謝ったりしているのが、自分でも不思議だった。今、二人は仲良くタオルに包まって横たわっている。発掘したときこわばっていた表情が、少し和らいで見える気がする。そんなこと考える自分のこの子供さにも驚き。



「お前はすっぴんの方が似合うなぁ。」
とバイト先の人に言われた。その日、確かに朝寝坊して、化粧をしていかなかったのだ。
「なんだか、優しそうに見えるよ。」
その人は、仕事はあんまり上手くないし、一緒に仕事をしていてストレスが溜まるような人だけど、内面は優しくて純粋な、かわいらしい人なのだ。和んだ顔でそう言われる。履き違えたら、セクハラ。
「実際は優しくないですけどね。」
仕事を続けながら、そういうと、その人はさらに顔を和ませて言った。
「突っ張るなよ。」
ハートマーク付で。
ああ、核心を着かれたと、今になって思う。そうさ、突っ張ってるんだよ。本当はぬいぐるみに話しかけちゃうような、ぬいぐるみの顔を洗うときにちょっとかわいそう、とか思う子なんです。子供なんですよ。それなのにタバコ吸ったり、世の中斜構えに見ちゃったり、ちょっと突っ張った子供なんですよ、私は。
突っ張りながら生きるの、もういやだ。

今日したこと。



部屋の掃除。
昔大量に買ったノンノの欲しいところをぴりぴりと千切る。なんでこんなにたくさん買ったのか、よくわからないなぁと思いながら。資源ごみの日を過ぎてしまって、残念。括ってベランダに放置した。新年明けて、また資源ごみ回収の日が着たら、出さねば。



大量に洗濯物。
溜まりに溜まった洗濯物を一気に洗濯機へ放り込む。一気にって言っても、結局入れるときは一枚一枚チェックしながら、袖とかを直したりして入れていくのだけど。私はこの冬、寒そうな服しか着ていない。全部秋物みたいな薄さ。重ねてなんとか過ごしている。マフラーと帽子があれば何とかなる、がモットー。この間、店長におしゃれだよなって言われて、嬉しかったことを思い出す。



思わずDVD鑑賞。
最近、ついに自分専用のパソコンを買った。自分の部屋においてある。ご機嫌。DVDだって見られる。掃除しながら、久しぶりにYELLOW SUBMARINEを鑑賞。高校時代はまって、毎日見てた。字幕がつかなかったけど、大体わかる。相変わらずのクレイジーさ。そして、なんだか訳のわからない感傷に襲われて、少し泣く。



リンリンランランを救い出す。
部屋の前にもういらなくなったぬいぐるみが入ったゴミ袋が、一週間くらい前から放置されていた。明らかに私の持ち物だけれども、私にはそれを包んだ記憶がなかった。母が勝手に包んだものだと思っていて、どうしてごみの日に出さなかったのかを、聞いた。すると、母は私が包んだのだと言い張る。そして、その中には、私が幼いころ決して離さなかったリンリンとランランという二匹のウサギのぬいぐるみが詰められていた。切なくなった。私はこの子達を絶対捨てる気なんてなかったのに、いつのまにか私はこの子達をゴミ袋の中に入れてしまっていたらしい。真っ黒でよれよれのリンリンとランラン。私は今日、この子達とお風呂に入るつもり。そして、きれいに洗ってベッドサイドに置く。こどもっぽいけど。



大根おろし
夕飯、大根おろしとじゃこを混ぜて、お醤油をかけて、ご飯にのっけて食べる。これが最近一番好き。大根を削って食べる、と母に言うと、大根はおろすもの、と言われる。けど、なおさないで大根を削る。削るって表現が、好きだ。




書いてみれば、日常って、意外と馬鹿らしくも、味がある。こう、どっかにトリップした状態ばっかり繰り返してると、死んでしまう。くだらないのが日常で、それが私を繋ぎ止めている。息を止めすぎちゃいけないよ。

失ったものについて、考える。なるべく考えないようにしていたこと。私は残念ながら、幸せを掴めなかった。本当にほしいものは、本当に手に入らなかった。そこで諦めていいの?って、誰かに言われた。けど、諦めない方法が思い浮かばない。私は諦めながら生きていくのだろうか。
本当にほしいのは、あの人の心だったのに。
その人は言った。そのためにどう努力するか考えなさい、って。そんなのわからなくて、わかっていたら、私はあの人の近くに遠慮なくいられるのに。

沈んでいく心の磨り減った部分。それを、私は失った。自分をかわいいと思えば、私は磨り減らされたことを怒ることができる。そして、最近私は、自分がかわいいのだ。兄と和解した瞬間から、私は私がかわいい。だから、怒ってしまう。怒る自分が一番嫌いで、私は私を嫌いになる。怒る権利はあるはずなのにね。
私は何になりたいか、分からなくなる。優しい人になりたい、けど、優しいの本質は分からない。から。

相変わらず続いている、私の最低な恋愛の話について。



私は、良人さん(31)に対して本当にむかついていた。本当の本当に。あの人は私が傷つくと分かっていながら、酷い言葉を口にした。そのせいで、翌日目が腫れて大変なことになるくらい、泣いた。それは、私が良人さんに会いに行く理由をこてんぱんに壊すような発言で、今でも思い出すと胸が痛む。私を人間扱いしてくれない。その癖、私を放す気なんてなくて、小さな素振りで私を縛り付ける。
もう、会いたくないし、一緒に居たくない。もう終わりにしたい。そう思ったけれど、私は結局彼に会いに行った。昨日の朝早く。一昨日の晩、会いにきてって言われて。
憂鬱な電車。どんどん離れていく地元と、近づいていくあの人の家。本当に憂鬱だった。



家に着いた、けれど、彼は寝ていた。呼んでおいて、メールも電話もノックも気づかない。家の前で待ちぼうけを食らう。ずっとそこに居るのも、周りに住んでいる人に迷惑なのはわかりきっているから、彼の町を散歩した。寒い日だった。後から知ったけれど、その日は本当に4℃位しか気温がなかった。しかも、あろうことか、私は薄着をしてきてしまっていた。日向を求めて、私は歩き回る。
本当に惨めな気持ちだった。目的もなくて、別に会いたくもない人に会うために、私はどうしてこんなに寒い思いをしてしまうのだろう。寒すぎて、手が動かなくなってくる。泣きそうになる。
ふと、ポケットの電話がなる。彼が寝ぼけた声で話す。今どこ?起きたから。家おいで。
駅についてから、その電話まで、50分間。
電話を切った後、本当に涙が出た。短くて濃厚な涙。寂しさも、何もかも、そこには入っていて、肩が震えた。自分の惨めさ、哀れさ。彼の酷さ。冬の朝の寒さ。



家に着いても、いらっしゃいという声もしない。ごめんね、も、言わない。壁に向かって、メールを打っていた。私も悔しくて、そっぽを向いてメールを打った。ひとしきり打った。意味のないもの。別に用もないもの。
背後から携帯を閉じる音。私はそれでも打ち続けた。うち終わると、買ってきた板チョコを開ける。銀紙をゴミ箱に捨てるついでに、彼を少し見る、と、私を眠そうな目で見ていた。
「怒ってるの?」
それが、第一声。
「あんまり。」
「じゃあ少しは怒ってるの?」
「まぁ。」
「なんで?」
「寒かったから。」
「怒ってるなら、布団中入れてあげない。」
嘘をつくしかできない、私の愚かさ。そして、結局は私を布団の中に招き入れて、宥めるように抱きしめる彼のずるさ。



それはこの間のワンシーンでしか、ない。
彼は、子供が生まれたばかりの同僚を早く家に帰してあげるために、人一倍のスピードで仕事をこなし、人一倍仕事を背負う。結局、彼は最後まで仕事をしている。家庭内暴力を受ける女友達を家に匿い、その旦那に暴力の痛さを知らしめるために、一発殴る。
けれど、同僚は仕事が終わった後、友達とおしゃべりをして、終電を逃している。女友達は、結局、自ら旦那と別れない道を選び、良人さんに近づかなくなる。
彼の孤独。人一倍周囲に目を配り、必死で働く。そして磨り減っていく。それでも、自分を評価せず、自分を一番信用しない言い張る。
だから、私は愚かな女だから、離れられない。私は結局のところ、彼に何もできないことに気づいてしまった。彼の孤独なんて、私に埋められるわけがない。私にできることなんて、本当に、何もない。ただ、彼の欲求を満足させるだけ。けれど、愚か過ぎる私は、それでも、横に居てしまう。いい人になりたいだけかもしれない。私が居なければ、この人はだめになってしまうとか、そういう陶酔に陥りたいのかもしれない。自分のことなんて、本当に分からない。ただいつの間にか、彼の横に居たいと思ってしまう。それが恋なのかもしれない、けれど。
早く誰か、強くて美しくて、優しい女性が彼の前に現れて、彼の孤独を癒してあげればいいのに。現れることが分かっているのなら、私はそれまで精一杯耐えるから。自己嫌悪と、惨めさと、彼の攻撃に。



本当は知っている。彼があの朝、どんなに電話しても起きなかったのは、クリスマスシーズンの忙しさで疲れが溜まっていた所為だってこと。けれど、それを後姿で責めることしかできない私は、彼の一番にはなれない。
その後、ふたりで、泥のように眠った。(最近、彼はよく眠れるようになった。)時々起きては、私が横に居ることを思い出して、抱きしめてくれたり、冗談を言ってくれたり、する。だから、私は彼を癒せはしない。
誰か、彼を本気で愛してあげてほしい。揺ぎ無く、包んであげてほしい。そうしたら、私は彼から一目散に逃げ出して、遠く遠くへ行こう。その日を待っている。

なんだか、ものすごく布団もご飯も身近にある毎日を過ごしている。別に今までと生活上の大きな変化があったわけではないけれど、やっぱり物事っていうのはいつかは落ち着くらしい。少しづつ、全て平らに、静かに、据えていく。
19になった。それは、私が思っていた何かの終わりだった。そして、本当に何かが終わった気がする。本当に終わった。あの憂鬱も生き苦しさも、すべてはとけて流れた。そして、私は数倍元気で明るくできる、けれど、数倍自分の醜さを外に出すことを厭わなくなった。
それは多分、兄と外出したあの日から。トラウマの根源を本当の意味で許せた時から。



本当に私は走るようにして毎日を過ごしてきた。18を思い返すと、本当に私は走っていたんだと思う。死なないように。生きながら死なないように。18歳の私は生きたかったのだ。







ひたすら勉強に追われた。けれど、あまり上手く行かなかった。
受験を終えた。そして行くべき学校について悩んだ。
免許を取りに行った。そこで、ひとりでいることの心地よさを本当に知った。同時に、自分について考え始めた。考えてみると、全然分からなかった。
本をものすごいスピードで読み始めた。情報を集めたかった。
バイトを始めた。自分の不器用さに驚いた。そこで沢山の人と知り合った。年上の力を知った。
大学が始まった。ちっとも真面目になれなかった。川原でハーモニカを吹く不思議なおじさんと仲良くなった。
素晴らしい友達ができた。凛としている女の子。陰鬱でめちゃくちゃな男の子。
家族に初めて途方もない罵倒を吐いた。暴れ回って、家族を失望させた。殴られた。家出を始めてした。
男の人の怖さを知った。そして、恋をして、失敗をした。
停滞して、憂鬱に浸った。そして、初めてカウンセリングを受けた。家族について本気で悩んだ。そして、考えた。泣いた。
友達が死んだ。死んだと思った人が生きていた。
ひたすらバイトをした。体を動かすことが必要だった。それが楽しかった。
昼夜逆転の生活と、惰眠を貪ることを愛して、それに失望した。
夜中に出歩く楽しさを覚えた。そして、ひとまわり上の人と関係を結んだ。好きなのかどうか、分からなかった。本気で悩んだし、本気で混乱した。無断外泊を繰り返した。
外泊に家族が切れた。それは結果として、母の子離れを促した。
兄がカウンセリングに通いだした。
家族と何度も話し合いをした。理解して欲しいと言った。相手も理解を欲していた。私が理解しようと努めたら、相手も理解を示した。そして、仲直りをした。
最後の佳境として、ひたすら落ち込んだ。死を思った。幸福を思った。
兄と和解した。本当の意味で。
そして、ほんとうの意味で、私は恋を始めた。
その間、一貫して夕日を、雲を、夜空を見つめた。そして、コーヒーと煙草と本をいつもいつも近くに置いていた。



毎日を生きてきた。毎日は過ぎてく。それは大きくなって、一年になる。そして、私は少しづつ変わっていってしまう。一年間、私は疾走した。これからどうなるかは分からない。ただ、ただ、私は生きていく。18歳は、多分一生私の中で生きていく。
すごいよ、生きていくことってすごい。