なんだか、ものすごく布団もご飯も身近にある毎日を過ごしている。別に今までと生活上の大きな変化があったわけではないけれど、やっぱり物事っていうのはいつかは落ち着くらしい。少しづつ、全て平らに、静かに、据えていく。
19になった。それは、私が思っていた何かの終わりだった。そして、本当に何かが終わった気がする。本当に終わった。あの憂鬱も生き苦しさも、すべてはとけて流れた。そして、私は数倍元気で明るくできる、けれど、数倍自分の醜さを外に出すことを厭わなくなった。
それは多分、兄と外出したあの日から。トラウマの根源を本当の意味で許せた時から。



本当に私は走るようにして毎日を過ごしてきた。18を思い返すと、本当に私は走っていたんだと思う。死なないように。生きながら死なないように。18歳の私は生きたかったのだ。







ひたすら勉強に追われた。けれど、あまり上手く行かなかった。
受験を終えた。そして行くべき学校について悩んだ。
免許を取りに行った。そこで、ひとりでいることの心地よさを本当に知った。同時に、自分について考え始めた。考えてみると、全然分からなかった。
本をものすごいスピードで読み始めた。情報を集めたかった。
バイトを始めた。自分の不器用さに驚いた。そこで沢山の人と知り合った。年上の力を知った。
大学が始まった。ちっとも真面目になれなかった。川原でハーモニカを吹く不思議なおじさんと仲良くなった。
素晴らしい友達ができた。凛としている女の子。陰鬱でめちゃくちゃな男の子。
家族に初めて途方もない罵倒を吐いた。暴れ回って、家族を失望させた。殴られた。家出を始めてした。
男の人の怖さを知った。そして、恋をして、失敗をした。
停滞して、憂鬱に浸った。そして、初めてカウンセリングを受けた。家族について本気で悩んだ。そして、考えた。泣いた。
友達が死んだ。死んだと思った人が生きていた。
ひたすらバイトをした。体を動かすことが必要だった。それが楽しかった。
昼夜逆転の生活と、惰眠を貪ることを愛して、それに失望した。
夜中に出歩く楽しさを覚えた。そして、ひとまわり上の人と関係を結んだ。好きなのかどうか、分からなかった。本気で悩んだし、本気で混乱した。無断外泊を繰り返した。
外泊に家族が切れた。それは結果として、母の子離れを促した。
兄がカウンセリングに通いだした。
家族と何度も話し合いをした。理解して欲しいと言った。相手も理解を欲していた。私が理解しようと努めたら、相手も理解を示した。そして、仲直りをした。
最後の佳境として、ひたすら落ち込んだ。死を思った。幸福を思った。
兄と和解した。本当の意味で。
そして、ほんとうの意味で、私は恋を始めた。
その間、一貫して夕日を、雲を、夜空を見つめた。そして、コーヒーと煙草と本をいつもいつも近くに置いていた。



毎日を生きてきた。毎日は過ぎてく。それは大きくなって、一年になる。そして、私は少しづつ変わっていってしまう。一年間、私は疾走した。これからどうなるかは分からない。ただ、ただ、私は生きていく。18歳は、多分一生私の中で生きていく。
すごいよ、生きていくことってすごい。