ケリを、つけてみました。



とりあえず、することもしたけれども、もうしない、と相手に誓ってみて、反対はされたけれど、引き止めはされなかった。なるほど、これが自分たちの距離感だったのか、と改めて実感した。毎日の様に、バイト先で相手と顔を合わせている。けれど、気まずくも無い。私が驚くほどよく笑い、あんまりにも何事も無かったかのように振舞っているから。
どうしてこんなにも笑えるんだろう。自分でも不思議だ。相手に会って、恥ずかしくなる事も、憂鬱になることもなく、ただそこにいる愛しい人でしかない。話したいと渇望はしているけれど、ずっと一緒にいよう、とは思わない。



ただ、相変わらず、あの人に幸せになって欲しいと、願う。
この気持ちに名前はきっと一生つけられはしない。恋よりも愛に近い。愛よりももっと汚れている。私は不思議な体験をした気がするのだ。大切で、重要で、でも日常から離れた匂いのしない感じ。特別ではない、けれど、荒っぽい幸福で、私はその後もご飯食べたり眠ったりしている。
もう私はあの人に触れなくても、大丈夫。ただ、周囲よりも、少しだけ近くにいたい。それさえ叶えばいい。



けれど、一番ひっかかるのは、相手の気持ちが相変わらず全く読めないところなのだ。
全く私なんて知らないような顔をして、時々妙に気にしている。それは、嬉しくも怖くもあって、もし私のことで憂鬱になったりしたのなら、ケリなんてつけたくなかった、とも思ってしまうような。



実は、書いていても自分でよく分かっていないのだ。
けれど、もっと私はこれから、本当の日常へと歩いていこうと思う。大きな幸福なんて別にいらない。それは、望まなくてもいつの間にか掌にあるものだったりするから。