友達が死んだ。
真面目な奴だった。一ヶ月前の飲み会で、焼肉屋に行った。その時、彼は肉に塩をきちんと振りかけて焼いていた。そういう、細かなところに気がつく人だった。頭もよかった。根性もあった。だから、死んでしまった。




命には、やっぱりそれぞれの価値があると思うんだ。




少し前、自己破産して、インドに行くと言ったまま音信を断った叔父さんが生きて連絡をよこした。いわゆる、ホームレスになって。その人は、自分がどれだけ親族に心配をかけたか、そして働かずにいることについて、全く考えを持っていなかった。『おれは寅さんだ。』と言い切る。
死ねばいいのに、と思った。区から援助を受けて、月に14万も働かずに貰っているのだ。税金を含めたら月4万しか手元に残らないとぼやいていた。それは、私が汗水たらして稼ぐバイト料とそう変わらない。
死ねばいいのに、と、本気で思った。





その友達は、大して仲もよくなかった。一ヶ月前の飲み会で、数年ぶりに会った位の仲だった。けれど、私は、奴は死ぬべきじゃないと思うんだ。そして、死んだなんて信じられないんだ。必死こいて勉強して、いい大学入って、なに数ヶ月で死んでるんだよ。にこにこ笑って酒を飲む姿を、きちんと覚えているよ。




どうして、あんな叔父さんが生き残り、真面目な友人は、死んだのか。死んだのか。きっと、意味なんてない。どうしても、意味を生み出したがる自分がいる。無為に死んだなんて思いたくないんだ。あっさりと死ぬな。どうしてそんな簡単に死ぬの。自殺の方がまだ性質がいい。あんたは死にたくないのに死んだ。また酒盛りしようっていったじゃん。肉美味そうに食べてたじゃん。生きるために食べてたんでしょ?何、あれ。何してんの。何死んでるのよ。