醜悪な人間。

(まず、2005-03-25の日記を参照として読んでください。)
私は物凄い勢いで兄にコンプレックスを持っていて(略するとブラコンになりそうだけど、そっちではない)、とにかく彼に勝ちたかった。でも、いつからか彼は私の下にいた。それはそれで、嬉しいのだけれども、どこか不自然。兄に憧れでも抱いていたのだろうか?多分、それにも近いんだろう。

けれども、今一番のコンプレックスは、彼が『引きこもり』というステータスを持っている所だ。私は、辛い状況も、吐きながら泣きながら耐えてきた。けれど、誰もそれを評価しない。しかし、兄は引きこもりだから、少しでも前進すれば、皆が彼を評価する。そして、彼ばかり褒めるのだ。
『私も褒められたい!』
なんて、子供じみている。でも、人間は誰でも肯定の言葉を欲しいのだ。逆に兄は褒められる事に罪悪感を感じているのは知っている。けれど、どうしても、悔しいのだ。

この間、私の入学祝いに、叔父夫婦と従姉が集まってくれた。その時に、伯母が言った言葉。
「今回はシホちゃんのお祝いだったけど、来年はあなたのお祝いが出来るといいわ。その時はもっと大きなケーキを持ってくるわね。」
その時、思った。私がどれだけ苦労して今の状況を築き上げたか。それは、遅れを取っている兄よりも、随分な労力を必要としたのに。引きこもることは簡単だ。投げ出してしまえばいい。けれど、投げ出さないで、同じ辛い状況を耐えた私の努力は、皆知らない。
損をした。そう思う。悔しいとも思う。皆は私がどれだけ痛かったかを、状況として見られていないんだ。曝け出そうか?そうも思った。兄が私にしてきた数々の悪事を。そして私がそれを乗り切るために耐えてきた事を。
さすがに、それはアホらしいし、そこまで自己を主張したくなかったから、実行には移さなかった。ただ、後味として、苦いものが残った。

今、学歴でも環境でも、私は彼に勝っている。それを高らかに主張したい訳ではない。私は私なりに、彼の辛さを理解して、普段はものすごく優しく、そして、時に小さな事は彼に頼ったりする。それが、彼の今の状態を打破するのに適切だと知っているから。しかし、心のそこでは、彼の事を、時に疎ましく、邪魔にも思う。そして、本当は、悲しくも思っている。兄が、小さく見えたから。

そう感じる事が罪だとするならば、私は罪人のままでいい。そう感じる事さえ否定されるのなら。