六年間いた、閉鎖的でそれだからこそ暖かい環境に、今日別れを告げた。つまり、卒業式。
未だに実感が持てないのだ。中学高校と、同じ所に通い詰めて、私はうんと安心していた。そこに行けば、常に私のための席が用意され、暖かな友達が居た。友達に対して、苛立ちや軽蔑を時どき感じる事もあったが、その人たちに沢山助けて貰えたのも事実で、それを不快感以上に感謝している。
あの環境に、一生居たかった。私は、今日あの学校から追い出されたのだ。それは、何か悪い事をしたからではなくて、時間が過ぎたから。私の所為でも無い、先生の所為でもない。時間の所為だ。タイムリミットはある、どこにだって。始まってしまえば全ては終わりに近づいていく。この六年間、それに気付かなかっただけだ。あんなに大切で愛しいものとの決別は、入学したときから決まっていた。そして、それは必然でもあり、きっと重要でもあるんだ。次のステップは既に用意されているし、それは刻一刻と目前に迫ってくる。新たな人脈や知識、新たないたずらや楽しみを知るために、私は進んでいかなければいけない。
涙は当然止まらなかった。皆、愛してる。失って始めて気がつく、沢山の愛着や愛情。取り戻せないものたち。ありがとうっていう言葉では、感謝の容量が足りないのだ。区切りをつけるために、もっともっと優れた言葉が欲しい。沢山の時間の限界に辿りついた時、きちんとお別れを言える様な。