髪の毛を染めた。陽の当たり方によっては、少し金茶。本当はくるみ色だったんに。


私にはとてもいい友達が居る。ゆきえだ。あいつといると、何かしら不思議な事が起こったりする。一個目、空から響く心臓の音を聞いた。その夜の空色は、黒とピンクと灰色の紺。絶望の色、というものがあれば、あんな感じではないか。気持ち悪かった。二個目、鳩の死体に出会った。目玉と喉はえぐられて、その喉から鳥の餌が零れていた。ゆきえが、その鳩を持ち上げて、どかしてくれた。道の真ん中に落ちていたそれを無視は出来なかった。三個目、電話口から、赤ちゃんの鳴き声がした。丁度その頃、ゆきえは毎晩幽霊的な夢を見ていた。


父と私の趣味は合う。読みたい本がよく本棚に乗っかっている。今日は萩原朔太郎の詩集を見つけた。素晴らしい。中原中也も寺山修二(修司だっけ)もあった。そして、マルクス主義への、こっそりとした、周囲には決して見せられない無謀な憧れも。


「シホは、上手く自分を隠せているよね。」といわれて、嬉しいのか、何なのか。な、先週の澄んだ空気。


サブカルチャーが一般的になりつつある世の中、カルチャーが意味的にはサブカルチャー。とか。そういう内容の新書がありそう?本屋にいってきます。明日。


そういえば、私の小さい頃、周りには見えない友達が居た。名前は「イヴァン」と「ぼく」。二人とも、ステレオタイプな子供のスーパーマンの形をしていた。(あれ、子供のスーパーマンステレオタイプなんてないかも)「イヴァン」の方が、のっぽで細かった。「ぼく」は小さくて丸くて可愛らしかった。私は「イヴァン」が嫌いで、「ぼく」にばかりはなしかけた。両親が喧嘩しているときは、二人と一緒に子供部屋にこもり、両隣にぴったりくっついてもらっていた。ある時、私はその二人の友達を手放す。一人で開けるのはとても怖い子供部屋の眺めのいい窓を開けて、ばいばい、と言った。二人が飛び立つ姿が、未だに目の裏にある。