朝、起きたらあと20分で学校に行かなきゃいけない時間だった。急いで着替えて、出発。


一時間目の政治経済の時間、ベトナム戦争についての映像を見た。
そこに映されていた、過去の残酷な出来事にうっかり号泣。人が殺される所を、映像でも始めてみた。銃で打ち抜かれた頭からは、まるで水道の蛇口みたいに勢いよく血が流れ落ちていく。無様に飛び散るのではなく、線となってそれは流れ出た。沢山の人が殺されていた。共産主義と資本主義の、身勝手な争いの中で。
鼻水が出たので必死にすすったけど、水っぽい鼻水はすすりにくかった。
周りは私のほかに、もう一人泣いている子がいた。友達の典子だった。その子は、授業が終わって、皆が教室を出て行っても、まだ座って泣いていた。


その後の授業でも、私はその映像を思い出しては涙が出そうだった。
でも、かろうじて泣かなかった。
典子は、途中で具合が悪そうに、教室を出て行った。
戻ってきた後も、授業を受けるでもなくひたすら寝ていた。


飛んで放課後。
明日は遠足で、服装が私服なので隣の駅で降りて服を買う。
そんなに時間はかからなくって、店に入って一目ぼれした爽やかな感じの服を買った。3000円で二枚セット!
しかし、今日は異常に風が強くて、外を歩いていたらスカートが全開で捲れて、恥ずかしくて逃げるように改札に飛び込んで丁度来ていた電車に飛び乗った。
家に帰る途中、またものすごい強風。再びスカートが捲れる。
急いで隠しながら周りを見ると、向こうの方でオジサンがにやけていた。私はまた走って逃げた。
本当に恥ずかしかったんだって!!


家に帰って、沢山昼寝して、典子にメールを送った。
典子は、もう元気になったみたいだけど、相当映像を見て悲しかったらしい。その時、自分のことを「感受性が強いから」と言った。
自分からはっきりとそれを言える人を見て、とっても羨ましく思った。


そして今。私はまたベトナムの事を考えたり、イラクについて考えてみたり、そんなことをしながらスカートが捲れてしまった記憶を消そうとしたりしている。


一日って意外と長いなぁ。