エレファント

すごく良かった。コロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフに撮られたんだけど、そうか、あれはこういう事だったんだ、って、納得した。
コロンバイン高校の事件については既にボーリングフォーコロンバインで見ていたけど、なんかあれは社会問題に突っ込んでばかりで、本質の子供については全く触れられてなかった。それはある意味で本当に危険な事だとも思う。原因やきっかけや社会を見るのは、大人の方法だ。(それはそれで面白かった事は確かなのだけど。)そこにはどこか野次馬じみた、本当の事をひた隠しにしたような感じがする。
これは、完全に日常だった。愛する人の元に歩いていく後姿、何ていう事もなしに外に出て行く後姿、撮り終えたばかりの写真を現像しに暗室まで歩く後姿。その何ていう事もない只の移動のシーンに何分間もただ時間を割くことは、日常により近づいていく。もう事件のシーンまではずっと日常を描いた映画だと思い込んでいたし。子供の、その時期の楽しい事、辛い事、そう書いてしまうとずっと薄っぺらく聞こえるけど、どこかで危うい今にも爆発しそうなあの雰囲気にクローズアップしたのは、すごい。あの錆びたような鮮やかなようなステレオタイプのような日常。何も無い日が、あんな風に崩される。二人の学生が、銃を振り回せば、直ぐに壊れる。息が詰るようなそんな光景が瞬時に生まれる。
それは、社会の問題とかを除いて、本当に日常の産物だったんだ。重ねていく毎日の箍が外れた。
そんな事件だったんだろう。と、思った。