最近は、夜に眠れない体質になってしまって、とにかくもう参っていた。降参。夜眠れずに昼ダラダラ眠っているのはあまり気分がよくない。昔は夜に起きている楽しさを満喫した時期もあったのだけれども、夜に起き続けるのなんて特別だから楽しかったんだ。日常化したらなんてことない、ただの退廃の原因だった。


だから、今日は起きていた。むしろ、起き続けた。それは自分を退廃させるためじゃなくて、次の夜を迎えた時心置きなく眠るためにだ。
最高潮に眠い。そりゃ、いつもは朝の6時なんて深い眠りについたばかりの時間だから。目が重たい。煙草も切れた。コーヒーを美味しく飲みたい。
ふと、外を見てみる。ものすごい勢いの風。台風の真っ只中。子供みたいにどきどきした。
私はジャージ姿のまま財布とライターをポケットにつっこみ、外に飛び出した。



強い風。淡い色の空。朝の妙なもや。不思議に澄んだ空気。
既に壊れた傘は、何の役にもたたない。わざと履いたサンダルは、あっさりと水を足に通してくれる。気持ちいい。何かを壊すように、何かを消し去るようにとにかく吹き荒れる。



煙草の自動販売機に300円つっこんで、出てきたらすぐに封を切って一本取り出して火を点けた。
煙は渦を巻きながらも、鋭くどこかに飛んでいった。
今もまだ眠い。けれど、起き続ける。とにかく。